Q:糸に究極の軽さと吸水性をもたらす「無数の空洞」はどのようにして作られるでしょう?

「OMOCHIタオル®」(商標登録6649917)は、日本機能性衣料株式会社の「B4a」ブランドの商品です。

パイルのベースになる生地部分も含めて、正真正銘のオールオーガニックのタオルです。もちろん製造コストはかなり上がりますが、「すべてオーガニックであること」にこだわってみました。

繊維産業は衰退する産業?

さて、日本の繊維産業と言えば、生産拠点が海外へと移転し、衰退する産業の代表として語られるほどです。

繊維産業が衰退しても「私たちに損害はない」「むしろ衣服やタオルが安くなってうれしい」と考える人は多いと思います。ですが、繊維産業が衰退するということは、「数々の名機とそれを作るノウハウが失われていく」ということなのです。

日本の繊維産業を支えてきたのは織機などの機械ですが、現実にはそれらを開発する高度な技術やノウハウも廃れてしまう、ということになってしまっているのです。

良いものを作るには時間や手間がかかります。つまり、お金がかかるということです。お金が流れ込んでこない業界はノウハウを維持できません。知識、経験を持った技術者が育たない(育てても生活していけない)からです。後継者が出てこなくなると機械が壊れても直せなくなります。

立ち上がる人々!

タオルなどの生地を作るときの糸をねじり合わせる、糸を撚(よ)ることを「撚糸(ねんし)」といいます。複数の糸が束になって丈夫に、かつ太さが均一になります。

ここにもノウハウがあり、たとえば短時間で強く撚るとしっかりした糸ができるのですが、どうしても堅くなり、さわり心地も吸水性も悪くなります。安いタオルはこうした糸で、短時間で大量に作られます。タオル自体の密度も隙間が多く、使い心地や吸水性も悪くなります。

それに対して、時間をかけて柔らかく撚ると、さわり心地もふんわりして、吸水性もよくなります。ほかにもさまざまな技術を駆使して、使い心地が良く、さらに機能性や耐久性も兼ね備えたタオルができます。

多くの人が「仕方がない」と諦めて、衰退していると言われる産業の中にも、「なんとかしなければ!」と立ち上がる人々はいます!浅野撚糸株式会社もそのうちの一社です。

ほかにはない撚糸の開発に取り組むことで撚糸業の起死回生を図ろうとしたのです。
ゴムもだめ、藁もだめ、鉄もだめ、紙もだめ、と、本当にさまざまなものを糸に加工して、何か付加価値のある糸(撚糸)ができないか試してきたそうです。

そして、3年ほどかけて「スーパーZERO」という魔法のような撚糸ができました。
糸を特殊な水溶性の糸と一緒に撚り、あとから水溶性の糸だけを水に溶かすことで、糸同士の隙間ができ、全体にふんわりと膨張します。

その無数の空間のおかげで、
・ボリュームがあるのに、軽い
・触れるだけでぐんぐん吸水していくほど吸水性が高いのに、乾燥も早い
・とにかく異様に柔らかいのに、毛羽落ちが極めて少なく長持ち
・しかも何度も洗濯してもふんわり感が持続
(柔軟剤では繊維の間がコーティングされるので本当のふんわり感は出ません)

というタオルにしたときに魔法のような機能を持つ撚糸「スーパーZERO」が誕生しました!

……が、じつは開発はすんなりとは終わりませんでした。

7つもの特許を取得!

当初はタオルメーカーがとても扱いづらい縮れた糸だったため、スチームできる機械に改造を重ね、ようやく「スーパーZERO」にアイロンをかけることに成功しました。
これには約2年の歳月、4,000枚以上の試作を重ね、結果として取得した特許は7つになりました。

繊維業の衰退により、撚糸機(糸を撚る機械)やスチーム機を製造している国内工場はもうどこにもなくなり、国産のものを探そうと思えば中古を買うか、または他社から譲り受けるしかないそうです。

もちろん浅野撚糸さんでも海外製の機械を輸入して使用したこともあるそうですが「精密さも違うし、そもそも微調整などが難しくて国産のものには勝てない、日本の技術はすごい」とおっしゃっていました。

ちなみに浅野撚糸さんには今稼働している1号機と予備の2号機しかなく、これがなくなってしまったら全ての業務がストップしてしまうそう。

こうして誕生し、「エアーかおる」シリーズと名付けられた浅野撚糸さんの伝説のタオルは、衰退産業に携わる人々を勇気づけ、ものづくり関連の賞をいくつも受賞しました。

OMOCHI(おもち)タオルは特別なタオル

「OMOCHIタオル®」にはオーガニックコットンの「スーパーZERO」を使用しています。

しかも、史上もっとも贅沢に「スーパーZERO」を使って作りました。

一番の極太糸を、非常に長いパイルで、今までで一番高い密度で編み込んで、面積当たりもっとも「スーパーZERO」をたくさん使ったタオルが「おもちタオル」なのです。

商品名は、まるで「ふくらんだおもち」のようなボリューム感ときめの細かさを表現しました。

もちろん、普通のタオルと比べものにならないくらいの時間や製造コストがしっかりとかかっています。

お風呂上がりなど、体を拭くというより「なでる」ようにするだけですぐに乾いてくれますので、敏感肌の人や冬場などは本当に助かるそうです。

髪の毛の乾きも非常に早いと好評です。

長期間ご使用になると耐久性(繊維が切れにくく、柔らかさが維持されていること)を実感されると思います。

まさに「新しいタオルがある生活へようこそ」と言いたくなる、今までになかった逸品をこのように皆様にお届けすることができ、本当に光栄なことだと思っています。

もし「バスタオルは大きいので使わない」という人は、枕に巻いてお使いいただいたりすると、眠るときにほっぺたに当たって気持ちいいと思います。

忙しい毎日の中で、もし1枚のタオルが皆様のほっとできる時間のきっかけになりましたらうれしいです。

ふわふわ感を長持ちさせるために<メンテナンス方法>

乾燥は、乾燥機の使用、もしくは風通しの良い所での陰干し(できれば室内)が理想です。干す前にパイル(繊維の束)を立たせるように左右に振ったり撫でてから干し、乾燥後は、タオルを優しく揉むことでパイルの1本1本が立ち上がるため、ふわふわとした仕上がりになります。


※洗濯機では、多めの水で洗うとより汚れが落ちやすく、ふんわり仕上がります。あらかじめタオル自体にも水を含ませてから洗濯槽に入れると、洗濯槽の水を増やすのに近い効果が得られます。
※綿は8~10%程度の水分を含んだ状態がベストな状態です。一度それ以上に乾燥した場合や紫外線(直射日光)の影響で硬くなった綿(タオル)は、元のふわふわした状態には戻りません。
※柔軟剤は吸水性を妨げ、パイルを抜けやすくしますので、タオルにお使いになることはおすすめできません。